中年夫婦の日常茶番
ゆいは僕の適当な言い回しが好きでした

特に意味もなく
なんとなく適当に言ってるだけなんで
僕自身忘れてることも多いんですけどね

例えばそうですね
ゆいが僕のメタボ腹を見て

なにそのお腹
何が入ってんの?

と言ってきた時に

うるさい
夢と希望が詰まっとんねん

そう答えたことがありました

なぜかゆいはこの答えを気に入ったようで
事あるごとに
何が入ってんの?
と聞いてきます

これね
我ながら会心の出来だと思えるヤツならいいんですけどね

夢と希望は特におもしろくもないでしょ

こんな駄作をいつまでも引っ張られるのはね
もうちょっとした拷問ですよ

振られるたびに答え
ウケはしますけどもやね
なんかこう
敗北感があるんですよ僕は

そこでね
僕は考えたわけですよ

次に聞かれたときに
違う答えを返してみよう

さっそく考えます
どうせなら笑○で座布団もらえるくらいの超大作にしたいじゃないですか

いつ聞かれるかわからないスリルと戦いながら
数日間考えまくりました


思いつきませんでした…

考えれば考えるほど
夢と希望がベストアンサーな気がしてきました

そんなとき
不意打ちをくらいました

オスの子猫の立派に膨らんだ金○袋を見て
ゆいが言いました

見てよこれ
これ何が入ってんの?

このときの僕はどうかしてました

とっさに出た言葉は

夢と希望

あぁぁ…

ダメだ
腹と丸かぶりじゃないか
さすがにこれは…

うん

定着しました

夫婦円満のコツは
夢と希望があればたいがい解決
これですね
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