アナザー・ワールド

女性の声

「…う。…しう。詩羽！」
「ん…」
名前を呼ばれ目を覚ます。
「りっちゃん…？ここどこ？」
目の前には、大きな建物がある。
「アナザー・ワールド」
麻美が応える。
「俺らマジで来たんだな」
海斗が目を見開いている。
「てか、これからどうすんの？」
匠が言う。
その時だ。
ズサァ…ザザァ…
テレビの砂嵐のような音が途切れ途切れに聞こえてきた。
「なんだコレ」
海斗が言う。
『アナザー・ワールドへお越しくださり誠にありがとうございます。』
アナウンスのような声が聞こえてきた。
皆は黙っている。
『あなた達６人には、これからいくつかの試練を与えます。今、あなた達の目の前に、廃墟があるでしょう。まず、その廃墟へお入りください』
一旦、アナウンスが終わる。
私達６人は、アナウンス通りその廃墟へと足を運ぶ。
ギィ…
「うっけほっけほ」
閉まったきりだったせいか、開けた瞬間むせてしまった私。
「こ、ここは…」
私の目に広がったのは広い階段。
私は呆気にとられていた。
「…。」
「…。」
私だけじゃない。他の皆も目を見開き固まっている。
その時だ。
ザザァ…
『アナザー・ワールド第一の部屋。『女性の声』です。この部屋では、女性の声を頼りに女性の子供を見つけてください。制限時間は１時間。もし、見つけられなかった場合はー…』
「ば、場合は！？」
りっちゃんが問う。
『その場合は、あなた達の誰かが生贄…となってもらいます。』
「い、生贄！？」
匠が声をだす。
「そ、そんな」
りっちゃんは顔を青白くさせている。
皆そうだ。
だが、麻美だけが違う。
「ここに来て何もしないで帰るのはあんまりよ。やるしかないわ。」
凛とした表情で言う。
すると、
ズサァ…
アナウンスが聞こえた。
『では、お進みください。』
そして、６人は進みだした。