もう一度、君と笑う時に。
一瞬でざわめきだす教室。
それでも言葉を続ける紗稀に、俺は息が詰まりそうだった。
「急な報告で本当に申し訳ないと思っています、ごめんなさい。神奈川へは、今日の夕方の便で発つことになりました。本当は夏休みはこっちで過ごしたいって言ったんだけど、ダメでした」
そういって困ったような笑いを浮かべる紗稀。
今日?このあとってことか?もう明日には紗稀はいないのか?
信じられない。
夢でも見てるんじゃないかという錯覚に襲われる。
「今まで仲良くしてくれて、どうもありがとう」
紗稀は俺の好きな微笑みと一緒にそう告げた。