もう一度、君と笑う時に。
「ばいばぁーい!!!」
「元気でねぇー!!」
そして、紗稀は夕方の便でこの地を去っていった。
「また、な…」
これでよかったんだと何度も自分に言いきかせる。
あの時、結局俺は
「俺は、お前…紗稀と出逢えて、本当に良かったよ…」
告白することができなかった。
紗稀の涙を見ていたら、迷惑なんじゃないかって、彼女の重荷になるようなことはしたくないって、そんなことばかり浮かんできて。
俺の口は、そうなることを避けて、感謝の言葉を零した。
それでいい。
彼女には新しい生活のことを考えて、幸せに過ごして欲しい。
…なんて、後から何とでも言えるんだよな。
結局俺は、逃げたんだ。