もう一度、君と笑う時に。




それからしばらくの間、どんな日々を過ごしてきたかいまいちよく覚えていない。





楽しいはずだった学校も、下校も、放課後も、全部全部色が消えて、無機質な世界で息苦しく生きていた。





大丈夫だと思っていた。




きっと、紗稀がいなくても平気だって。





勝だっているし、俺の人生何一つ終わったわけではない。





だけど、やっぱりダメだった。





俺の生活の大半を彼女が占めていて、それが当たり前になっていて。




失った後の苦しさなんて所詮、失ってからしかわからないんだ。




「紗稀…」






そう呟いても、彼女はもう帰ってこない。



< 25 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop