もう一度、君と笑う時に。
それからしばらくの間、どんな日々を過ごしてきたかいまいちよく覚えていない。
楽しいはずだった学校も、下校も、放課後も、全部全部色が消えて、無機質な世界で息苦しく生きていた。
大丈夫だと思っていた。
きっと、紗稀がいなくても平気だって。
勝だっているし、俺の人生何一つ終わったわけではない。
だけど、やっぱりダメだった。
俺の生活の大半を彼女が占めていて、それが当たり前になっていて。
失った後の苦しさなんて所詮、失ってからしかわからないんだ。
「紗稀…」
そう呟いても、彼女はもう帰ってこない。