もう一度、君と笑う時に。
「紗稀…??」
「大変申し訳無いのですが、諸事情で仕事に影響を出すわけには行きません。ご用件をお伺いします」
なんだそれ…
やっと逢えたって、嬉しかったのは俺だけ?
こんなんじゃ諦められない。
「用件は、ここの仲嶋さんとの顔合わせに来たこと、だけど今夜の約束は君としたい」
「…ご用件は以上でしょうか」
「今夜、7時に駅前の時計広場で待ってる」
「…仲嶋は3階、エレベーターを降りて突き当りの会議室にて待機しております」
「…ありがとうございます」
これは約束というのだろうか。
だけど、この状況じゃ一方的に押し付けるしかなかった。
紗稀に言われた通り会議室に行き、仲嶋さんとの顔合わせを無事に終えた俺は、今夜のことを考えて浮かれながら会社を後にした。