沖田総司と運命の駄犬
部屋に入る。
沖田「そこに座って?」
梓「はい・・・。」
大人しく座った梓に、睨みながら、僕は言った。
沖田「今度、出て行ったら粛清って、言ったよね?」
思い出したように、梓は頷く。
梓「はい・・・。」
僕は、まだ、血の付いた刀を抜いて、梓の首に、這わせた。
その瞬間、梓の顔が、青くなる。
沖田「質問に答えて?」
梓「はい・・・。」
僕は、気になっていた事の尋問を始めた。
沖田「土方さんとは、どういう関係?」
キョトンとする梓。
梓「別に、何も、無いです。」
沖田「じゃあ、なんで、今朝、布団で、抱き合って寝てたの?」
梓「それは・・・。昨日、誰も、居なくて・・・土方さんが、お菓子くれるって言うから、一緒に、食べていたんです。」
沖田「はぁ・・・。」
何それ。
完璧に、それ、わらしを盗む方法だし。
何で、そんなのに乗るかなぁ。この子は・・・。
僕は、イライラが、止まらない。
沖田「土方さんは、甘いもの嫌いだし。それに、餌を貰ったら、夜に、男の部屋に行くわけ?どんだけ、バカなんだよ。だから、襲われるんでしょ!」
すると、梓の顔が、少しずつ変わった。
怒ってるの?何で?
怒りたいのは、僕の方だ。
沖田「何?」
梓「何でもないです!」
沖田「嘘!言いたいことが、あるなら、言いなよ!」
梓は、僕をキッと睨んで口を開く。
梓「じゃ、じゃあ言わせて貰います!沖田先輩だって、島原に行って、女の子、買って一晩、過ごしたじゃないですか!それに、土方さんは、そんな事、しませんっ!」
はぁ?僕が、おなごを買ったことを、怒ってるの?
なんか、それって、嫉妬みたい・・・。
僕は、少し嬉しかった。
でも・・・。梓は、土方さんを、完璧に、勘違いしてる。
土方さんも土方さんで、上手いことやってるせいか、梓に、“そういう面”で何故か、信頼を得ていた。
沖田「何それ?ぷっ!アハハハハ!本当にバカなんだね!土方さんを、仏か何かと思ってるわけ?あの人は、おなご好きで手が早い。僕達の中では・・・いや、この界隈じゃ有名な話だよ?それに、僕が、おなごを買ったからって、梓に、関係ないし!前から、思ってたんだけどさぁ、梓って、僕に、惚れてるの?」
梓「はぁ!?惚れてる?何でそうなるんですか!」
沖田「だって、それって、どう聞いても、やきもちだよね?」
真っ赤になった梓が、必死に違うと言ってるけど、全く、説得力ないな。
梓「違いますっっ!」
沖田「ふーん。じゃあ、土方さんを好いてるの?」
梓「土方さんは、好きですけど、そういう・・キャッ。」
梓から、他の男を好いていると言われるだけで、ムカムカする。我慢できない!!
なんで?
それって・・・。
そういうこと?
僕は、梓を押し倒していた。
沖田「その口で・・・っ。その口で、土方さんを・・他の男を、好いてるとか言うなっ!」
梓「え・・・?」
沖田「何でだよっ!何で・・・僕が、こんな・・・っ。」
梓「沖田先輩・・・?」
僕は、刀をゆっくりどけて、唇を合わせて、接吻した。
梓「っ!」
前に、梓が、寝ているときに唇を重ねたが、その時とは、全く違う。
梓の緊張している体の震えや、ピクリと動く肩などを感じて、僕は、何度も口付けを交わした。
そして、それを僕は・・・。
僕は・・・。
沖田「・・・っ。」
梓「沖田・・先輩・・・っ。」
沖田「あ・・・。」
夢中で、口付けをしていた。
なんて事をしてるんだよ!僕は・・・。
これじゃ、まるで僕は・・・。
嘘でしょ!?
そんな訳ないよ!
僕は、梓から離れて、部屋を出た。