沖田総司と運命の駄犬
スパーーーン!
沖田「やっぱり!」
土方さんの部屋の襖を勢いよく開けると、土方さんに抱きしめられて、今にも、口付けしそうな、土方さんと梓がいた。
梓「沖田先輩・・・。」
沖田「前に、言ったよね?僕以外には、触れさせちゃダメって・・・。」
僕が、居るのに、土方さんは、梓を、離さず抱きしめている。
僕は、強引に、二人を引き離すと、梓に口付けをした。
梓「っっ!」
僕が、口付けを深くしようとした時、土方さんに引き離された。
土方「おい!止めろ!」
僕は、土方さんを睨み付けた。
土方さんも、僕を睨んでいる。
沖田「自分は、良くて、僕は、ダメなんですか?」
土方「梓が、俺の所に来たから、そういうことだろ?しかも、人がイチャついてるのなんて、見たくねぇだろうが!」
沖田「僕だって、見せ付けられましたけど!朝から、何、盛ってるんですか?島原に行けば、良いじゃないですか?」
土方「お前が、行けよ?最近、入り浸ってるんだろ?」
沖田「僕の事は、良いんですよ!」
言い合いをしていると、梓が、間に入ってきた。
梓「二人とも止めて下さい!」
沖田「梓は、黙ってて!」
土方「あぁ。俺らの問題だ!」
梓「でも・・・。」
沖田「だいたい、梓が、いけないんだからね!」
梓「何でですか?」
え?
梓は、何故、自分が、悪いのか、全く、わかっていなかった。
土方「お前、わかってて、俺の所に来たんじゃねぇのか?」
梓「へ?」
やっぱり、あれが、媚薬ってわかってなかったか・・・。
沖田「はぁ・・・。やっぱりね。わらしの梓が、そんな事するとは、思ってなかったけど。」
梓「何が?」
土方「お前の香だが、媚薬だ。」
梓が、固まる。
梓「媚薬って・・・。」
沖田「今、おなごの間で、男を誘うのに、流行ってるっていう媚薬だよ。特に、島原の芸妓が使ってて、それが、町娘まで、流行って・・・。」
梓「男を誘う・・・。」
土方「だから、その匂い漂わせて、俺の部屋に来たって事は、そういうことだろ?」
梓「あ・・・。」
やっと、理解している。
梓「違います!私は、ただ、良い匂いだったから・・・。」
沖田「そういう考えなのは、梓だけだよ?この匂い漂わせて、男と部屋に二人でいたら、誘ってるとしか思えないでしょ?」
梓「確かに・・・。」
僕は、梓の懐に手を、入れて、香袋を取った。
沖田「って事で。コレは、没収!」
あれ?
どうみても、売り物でない、袋らしきもの・・・。
そう、まるで、わらしが作ったみたいな・・・。
もしかして・・・。
沖田「ねぇ、梓・・・。コレ、自分で、作ったの?」
梓「はい。香袋が高かったから・・・。」
土方「そんなくらい、言えば、買ってやるのに。」
沖田「へぇ。梓、一応、袋は、作れるようになったのか・・・。ねぇ、僕にも、作って?」
梓「え?」
沖田「だから、僕のも、作って?」
梓「はい!じゃあ、土方さんの分も、作ります!」
土方「ん?あぁ。頼む。」
土方さんの分はいらないと思うけど。
でも、梓は、嬉しそうに気合いを入れていた。
少し経った頃・・・。
梓「沖田先輩!これ・・・。」
渡された物は、前に、言っていた香袋。
梓「いつも、命懸けの仕事をしてるので、無事でありますようにって、願いを込めておきました!」
こんなかわいい事、言って、梓も、やはりおなごなんだな・・・。
僕は、梓の頭に手を置いた。
沖田「ありがとう。大事にする。でも、この前より、上手くなってる。」
そう言うと、梓は、嬉しそうに微笑んだ。
その顔を見て、ドキリと胸が高鳴った。