沖田総司と運命の駄犬

嘘でしょ！？

しばらくして、近藤さんが、藤堂さん達と、仲間になる人達を連れて帰ってきた。




梓「近藤さんっ！お帰りなさい！」




近藤「おぉ！梓！ただいま！いい子にしてたか？」




梓「はい！」




近藤「これは、江戸の土産だ。梓の好きそうな菓子だ。」




梓「ありがとうございます！」




私が、受け取ると、沖田先輩が、横から、それをかっさらっていった。




梓「あ！沖田先輩！返してっ！」




沖田「あ～！これ、懐かしい！ありがたく頂きます！」





梓「あ！ちょっと！先輩にも、分けてあげますから、返してっ！それ、私が、貰ったんです！」




沖田「はぁ！？逆だよ？僕が、分・け・て・あげるよ。はい。あーん。」



梓「あーん。」




条件反射で、口を開けてしまった私・・・。




沖田「ぷっ！本当に犬だね！くくくっ。」




沖田先輩は、私の口にひとかけらの菓子を入れて、笑っている。





梓「う゛・・・。条件反射でつい・・・って、でも、これ、美味しい！もっと下さい！」




沖田「はぁ！？あつかましいよ？もう、おしまい。」





梓「なっ！私が、貰ったんです！返してっ！」




沖田「もう、僕の物だしぃ！」





そう言いながら、沖田先輩は、菓子を食べ始めた。




私は、追っかけて、奪い返そうとするも、なかなか上手くいかない。




沖田「新選組、一番隊組長の僕から、奪うなんて出来たら、梓に組長の座を譲ってあげるよ。」





梓「もぉ！バカにしてっ！沖田先輩！覚悟っ！えいっ！」




助走を付けて、沖田先輩が、伸ばしている手に向かい跳ぶも、呆気なく、避けられる。





沖田「くくくっ。梓、今の棒を投げられて、受け取る犬みたいだった！ほらほら、おいで、梓！」




もう一度、目掛けて、走ると、沖田先輩は、私を受け止めギュッと抱きしめた。




抱きしめられたまま手を伸ばしていると、抱きしめられた腕に力が入ってきた。





梓「痛い！痛い！ギブギブッ！」





沖田「どう？僕には、適わないでしょ？」




梓「う゛ぅ。はい・・・。」




確かに、今は、勝てる気がしない。




沖田「じゃあ、何て言うのかな？ん？」




梓「・・・降参します・・・。」




沖田「はい！良くできました。」




そう言うと、沖田先輩は、菓子をもうひとかけらだけ私の口に入れた。





沖田「これは、おまけだよ。僕って優しいなぁ。」





そう言うと、沖田先輩は、残りの菓子を、全て、平らげてしまった。






私の目の前で！





私が、沖田先輩を恨めしそうに見ていると、沖田先輩がニヤリとして言った。





沖田「いつでもかかっておいでよ。」





そう言うと、沖田先輩は、幹部会議に行ってしまった。