沖田総司と運命の駄犬
しばらくしても、私は、何故か、女の子の着物ではなく、男装をさせられていた。
梓「沖田先輩、ちょっと、聞いても良いですか?」
部屋で、刀の手入れをしている沖田先輩に、声をかけた。
沖田「何?」
梓「私、何で、男の格好なんですか?着物とか、簪とかしてみた・・・ぃ。」
ギロリと睨まれる。
沖田「土方さんが、梓から目を離すなって言うから・・・。いつでも一緒にいなくちゃいけない。おなごの格好なんかされたら、お美代ちゃんに、また、勘違いされるじゃないか。」
お美代ちゃんって、ここで、沖田先輩に、会ったときに一緒にいた人だよね?
沖田先輩は、本当に、お美代さんが好きなんだ・・・。
梓「沖田先輩って、本当に、お美代さんが好きなんですね。」
ポロッと言った言葉に、沖田先輩は、真っ赤になった。
沖田「う、うるさいよ!梓のくせに、生意気!」
そう言うと、沖田先輩は、私の鼻をギュッと摘んだ。
梓「痛い!実は、こんなに、イジワルな人だって、告げ口を・・・。」
ズイッと寄られて、今度は、ほっぺを、思いっきりつねられる。
梓「痛い!痛い!痛いですっ!離して!」
沖田「お美代ちゃんに、変なこと、吹き込んだら、どうなるかわかってる?これぐらいじゃ済まないんだからね!?」
梓「わ!わかってますっ!わかってますよっ!」
沖田「飼い主に噛み付いたら、斬ってやる!」
梓「私、沖田先輩に、飼われてなんか、いませんっ!」
沖田「本っ当に生意気な飼い犬だね!可愛くない!」
梓「犬じゃないし!沖田先輩に、可愛いなんて、思ってもらおうとなんて、思ってませんからっ!」
すると、沖田先輩が、黒い笑みを浮かべる。
沖田「へぇ。じゃあ、誰に、可愛いと思われたいの?ん?」
梓「言いませんっ!」
沖田「だったら、言わせるまでだっ!」
そう言うと、沖田先輩は、私をくすぐってきた。
梓「キャッ!ヤダ!アハッ。くすぐったい!止めて!」
沖田「答えろっ!」
梓「い、言いますから!止めてっ!」
すると、パッと、沖田先輩の手が止まる。
沖田「誰?」
梓「沖田先輩の知らない人です。」
沖田「もしかして、梓がいた所に、恋仲がいたとか?」
梓「えっと・・・。」
アイドルのシンが好きって言ってもわからないよね。
梓「役者さんが好きなんです!」
沖田「役者と恋仲だったの?」
梓「いえ。喋ったことも無いです。」
沖田「ぷっ!それって、ご贔屓にしてるだけでしょ?アハッ。アハハハハッ!本当に、梓ってわらしなんだ!くくっ。」
私は、顔を、真っ赤にした。
梓「い、良いじゃないですか!ご、ご贔屓でも、好きなものは、好きなんです!」
沖田「はいはい。ぷっ。」
まだ、笑ってるし!
私は、部屋を出た。