沖田総司と運命の駄犬
梓「ヤバかったぁ~!でも、買えて良かったぁ!」
私の後ろ数人で、売り切れになったのだ。
私は、ルンルン気分で、帰り道を歩いていた。
すると、目の前を、見たことのある人が通った。
梓「え?あっ!あの人は!!待ってっ!」
私は、その人の腕を掴んだ。
「ん?あぁ・・・あなたは・・・。ふふっ。お久しぶりですね?」
梓「忠兵衛さん・・・っ。」
私を、沖田先輩の姿をした土方さんに連れてこられたときの店の人!
私に、片道切符だと謎の言葉を言った人だ。
忠兵衛「お久しぶりですね。梓さん。お元気そうで。」
梓「どういうことですか!沖田先輩じゃなくて・・・。土方さんは、すぐに、帰れるって言ったのに!全然、帰れなかったし!あれから、私、すごく大変だったんですよっ!」
私は、忠兵衛さんの胸ぐらを掴んだ。
忠兵衛さんは、私が、掴んだ手の上から私の手を包み込むように手を添えた。
忠兵衛「そうでしたか。それは、それは・・・。でも、あなたのおかげで、新選組の土方 歳三は、歴史に名を残した。全て、あなたが、彼を信用してここへ来たからだ。」
梓「じゃあ、私は、帰れるの?」
忠兵衛「帰りたいんですか?」
ニヤリと忠兵衛さんが笑う。
梓「そりゃ、そうで・・・。」
「おい!梓!何やってる!?そいつは誰・・・だ・・・って、忠兵衛・・・。」
振り向くと、土方さんも固まっている。
忠兵衛「ふふっ。役者が、揃いましたねぇ。どうでしょう?私の店にご招待しますよ?」
私は、土方さんを見た。
すると、土方さんは、私の手を掴んだ。
土方「行くぞ。お前が、元の時代に帰れる手がかりだ。俺も一緒に行くから安心しろ。」
梓「はい・・・。」
私達は、忠兵衛さんに付いていった。
町の隅の道が無い所を入っていく。
こんな道、前に来たとき無かった。
私は、手に力を入れると、土方さんがギュッと手を握ってくれた。
土方さんを見ると、土方さんは、優しく微笑む。
土方「何があっても、お前は俺が守る。安心しろ。」
そう言うと、土方さんは、繋いでいない手で、私の頭を撫でた。
私達は、道のない道に入った。
すると、そこには町があった。
しばらく、ついていくと、あの日本家屋があった。