沖田総司と運命の駄犬
しばらくすると、僕の見ているところでも、梓と、伊東さんは、仲良くするようになっていた。
沖田「いつの間にあんなに仲良くなってるんだ?」
仲良くしている二人を見ていると色んな感情が出てくる。
もちろん、梓に何かして来るかもしれないという心配もだけれど、それ以外にも、梓が、他の男と仲良くしている所は、見ていて、気分の良いもんじゃない。
僕は、再度、梓に、忠告をする。
沖田「ねぇ、梓・・・。最近、伊東さんに近付き過ぎてるよ。最初に言ったよね?気をつけてって・・・。」
「わかりました」と言うかと思ったら、反論してきた。
梓「沖田先輩は、伊東さんをわかっていないんです。優しい人ですよ?」
はぁ?あぁ・・・。いつもの事だ。
餌付けされたか。
僕は、イラッときたが、グッと耐えた。
沖田「そんなのわからない。どうとでも見せることは出来るでしょ?」
梓「沖田先輩は、伊東さんの事、何も知らないじゃないですか!何で、どんな人かもわからないのに、そんな毛嫌いするんですか?」
沖田「土方さんも僕も、嫌な予感がするからだよ!」
梓「そんな理由で、毛嫌いされる伊東さんが可哀想です!」
僕の怒りは、頂点に達しようとしていた。
沖田「梓が、なんで、伊東さんを庇うんだよ!」
梓「沖田先輩が、伊東さんを悪く言うからですよっ!」
沖田「最近、伊東さんと二人きりで居ることも多いって聞いてる。僕、前に言ったよね?男と二人きりになるなって・・・。」
梓「伊東さんは、そんな変なことはしませんっ!」
また、このやり取りだよ。
危ない目に遭ってるクセに、同じ事を何回もする。
それどころか、今回は、敵かもしれない奴に、ほだされて、味方になっている。
だったら、わからせてあげるよ・・・。
バカでもわかるように・・・。
沖田「本っっ当にバカなんだね・・・。そっか・・・。梓はバカだったね。何度も、危ない目に遭っても危機感無いし、土方さんの事も、勘違いしてたし・・・。」
僕は、梓にグッと寄った。
梓「何ですか?」
沖田「梓が、なぁんにもわかってないから教えてあげようと思ってね?僕も男だよ・・・。男と二人きりになったらどうなるか教えてあげるよ。」
僕は、乱暴に、梓を押し倒した。
梓「ちょっ・・・。沖田先輩!冗談は、止めて下さい!」
沖田「冗談?・・・冗談なんて言ってないよ?」
袴の裾から手を入れ、梓の肌を撫でた。
梓「っ!止めて・・・っ。」
沖田「止めてって言われて、止める男なんていないよ?」
僕は、梓の首筋に舌を這わせる。
梓「っ!ヤダッ!」
好いてるおなごの肌に触れているのに、ちっとも、嬉しくない。
僕は、色んな意味で、梓の首筋を吸い上げ、赤い痕を残した。
そして、着物の合わせを開き、胸元にも、舌と唇を這わせる。
抵抗する梓の手を押さえつけて、口付けを交わす。
どんなに、肌に触れても、口付けをしても、心が、冷え切ってくる。
すると、梓は、ガタガタと体を震わせて泣き始めた。
梓「沖・・田先輩・・・。止めて・・・っ。うっ・・・。うっ・・・。止め・・・っ。」
少しは、これで、わかっただろう。
僕は、ゆっくり梓の上から退いた。
沖田「わかった?こうなる事だってあるかもしれない。何かあってからじゃ・・・っ。」
パァン!
注意しようとしたら、頬を叩かれた。
沖田「っ!・・・何、するんだよ・・・っ。教えてあげたのに・・・。」
梓「最っ低!伊東さんも土方さんも、こんな事しないもんっ!」
その言葉に僕は、カッとなった。
こんな事をされてもまだ、わからないのか?
“僕だから”すると思ったって事か・・・。
そこまで、僕は、二人と違って、梓の中では、信用が無いって事か・・・。
もういい・・・。
沖田「ハッ!本っっ当にバカ過ぎて呆れるよ!わかった。好きにすると良い。でも、僕は、もう、梓を助けないから・・・。勝手に、信じて、襲われて、バカを見とけば良いんじゃない?」
僕は、そう吐き捨て、部屋を出た。
沖田「はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。あぁぁっ!もぉぉっっ!何っっなんだよっ!アイツはっっ!だったら、好きにすればいいんだっ!そして、痛い目に遭えばいい!バカ梓っっ!僕は、もう、知らないからなっ!」
僕は、道場で、素振りをしながら、ずっと叫んでいた。