沖田総司と運命の駄犬
それから、僕は、梓を避けた。
土方「オイ!総司!お前、最近、何で、梓を避けてんだよ。梓を伊東さんに近付けるなと言っただろうが・・・。」
はぁ・・・。
人の気も知らないで・・・。
沖田「言いましたけど、土方さんのご心配通り、梓は、伊東さんに丸め込まれました!僕より、伊東さんや土方さんの方が信用出来るみたいだから、土方さんが言えば良いんじゃないですか?」
まるで、拗ねているややこみたいだけど、仕方ない。
土方「はぁ・・・。何があったか話せ。」
僕は、しぶしぶ、土方さんに話した。
土方「なるほどな・・・。まぁ、梓は、警戒心が薄いのは、否めねぇが、仕方ねぇんだ。アイツの暮らしていた時代は、ここより、安全だ・・・いや、らしい。だから、梓みたいな人間も居るって事だ。あれだけ、人の事を信じれるアイツもまた羨ましいだろ?」
確かにそうだけど・・・。
沖田「まぁ・・・。」
土方「そんなアイツだからお前も惚れてんじゃねぇのか?」
え?今、土方さん、お前“も”って・・・。
沖田「“も”って事は、土方さん・・・。」
そう言うと、土方さんは、少し寂しそうにフッと笑った。
土方「梓は、きっと・・・。いや、早く仲直りしねぇと本気で奪いに行くぞ。」
沖田「なっ!言われなくてもしますよ!伊東さんが、何を考えてるかわからないし!」
すると、土方さんは、その場を立ち去った。
やっぱり、土方さん、梓に惚れていたのか・・・。
僕は、少し、焦りが出てきた。
だって、あのおなごを瞬殺でオトすと異名を持つ土方さんが本気で、梓をオトそうとしたら・・・。
梓なら、本当に、瞬殺で喰われる・・・。
僕は、梓の事を考えた。
キュッと胸を掴まれてる気持ちだ。
沖田「梓・・・。」
確かに、僕は、梓に酷いことをしたから、それは、謝らなければならない。
すると、うちの隊の子に声をかけられた。
隊士「沖田先生!今宵、伊東先生の歓迎会があります。」
沖田「そっか。ありがとう・・・。」
梓、どうしようか・・・。連れて行きたくない。
でも、なかなか会えないから、そこで、話をした方が、いいかもしれない・・・。
でも、梓には会えなかった。
そして、あっという間に、夕刻になった。