沖田総司と運命の駄犬
駄犬から愛犬へ・・・でも、やっぱり駄犬?~沖田side~
屯所に帰って来て、部屋に入った。
もし、伊東さんの差し金でも、伊東さんが言ったことが、本当なら、僕は、とんでもない邪魔をしたことになる。
僕は、梓の体を洗う前に、それを、確認する事にした。
それに、梓の首筋から、チラチラ見えるあれは、もしかして、口付けの跡?
沖田「そこに座って!」
梓「はい。」
沖田「で?僕は、邪魔者だった?」
梓「え?」
沖田「さっき、伊東さんが、言ってたでしょ?気持ちを交えたって・・・。」
梓「違いますっ!私は・・・。」
梓の口から、違うと聞けて、安堵する。
すると、僕の悪い癖が出た。
沖田「ふーん。で?僕の言うこと聞かないで、襲われた梓。今回の事、どう思うの?」
梓「すみませんでした。沖田先輩は気を付けろって言ってくれてたのに・・・。反省してます。」
僕は、わざと、大きな溜め息を落として、もう一度、梓に注意をした。
沖田「もう一度、言う。僕以外に、触れさせるな。おなごの格好もダメ。仲良くなったからって、全部を信用しちゃだめだ。梓は、おなごってだけでなくて、未来から来たっていうのもある。そういうこと、簡単に言っちゃダメだ。わかった?」
梓「はい。」
僕が、梓の頭を撫でると、梓は、泣き出した。
沖田「泣いてるの?まさか、アイツに・・・。」
もしかして、間に合わなかった?
梓「違っ・・・。沖田先輩、助けてくれて、ありがとうございました。私、沖田先輩の言うこと聞かなかったのに・・・。」
反省はしているようだ。
本当に、憎たらしい事もあったり、こうやってしおらしかったり、これだから、目が離せない。
僕は、梓の髪の毛をくしゃっとした。
沖田「そうだよね。いっつも梓に振り回されてる・・・。」
梓「え?どちらかというと私の方が振り回されてる気が・・・。」
沖田「駄犬の癖に生意気・・・。」
僕は、梓の頬をつねる。
梓「痛いです!痛い!」
沖田「ぷっ!変な顔。」
梓「あ!乙女に向かって!」
沖田「乙女?どこ?あれぇ?僕には見えない。目が悪くなったのかな?」
僕達は、いつも通りじゃれ合う。
梓「そうですね!目が悪くなったんですよ!」
沖田「本当に、腹立たしい奴っ!」
もうダメだ・・・。
僕は、梓の頭の後ろを掴み、自分に引き寄せた。
梓「っ!」
唇を重ねて、何度も唇を啄む。
何度も、何度も、唇を合わせる。
梓「プハッ!」
息が、苦しかったのか、梓は、色気も何もない声を上げた。
沖田「ぷっ!何それ?色気の欠片もない。」
梓「だって・・・。」
沖田「言っておくけど、僕、伊東さんと接吻したの許してないから。」
あの場合、押さえつけられて、唇を吸われていた梓に非はない。
でも、自分の物に触れられたような、嫌な気分になる。
僕のだっていう所有欲が止められない。
僕のだって言いたい。
その欲求は、今、この行為に繋がる。
もっと、深く口付けたい。
梓は、忘れてるようだが、媚薬を頭から被り、先ほどから、僕は苦行をしているのかと思えるくらいの我慢をしている。
梓「っ!」
鼻を摘み唇を開けさせる。
梓「んーっ!」
唇が、開いた瞬間、自分の舌をねじ込み梓の舌に絡ませた。
梓は、甘い声を出して、僕にしがみつく。
このまま、梓と交わりたい・・・。
ゆっくり、顔を離すと、梓は、驚くほど、おなごの色気のある顔をしていた。
こんなに愛おしい・・・。
こんなに愛おしく想うなんて・・・。
梓「沖田先輩・・・。」
そう囁いて、ジッと僕を見つめる梓。
その目に吸い寄せられるように、互いが求め合うように、唇を重ねた。
すると、梓の腕が僕の背中に回った。
その瞬間、身体中が熱くなる。
沖田「今宵の梓、ダメだ・・・。この匂い・・・クラクラする・・・。」
僕は、梓の首筋に唇を這わせた。
梓の甘い声を聞くと、もう止まらない。
僕は、梓の身体に優しく触れる。
梓に口付け、着物を脱がそうとした。
すると、部屋の外で、声がした。
『梓、居るかな?』
山南さんだ・・・。
僕は、気持ちを、落ち着かせるため、溜め息をついた。
沖田「もう一度、体を洗いに行こう。その後、一緒に山南さんの所へ行くから。」
こんな夜更けに、訪れてくるくらいだ。
大事な話があるんだろう。
だったら、この匂いを取って行かなきゃ僕は、気が散って、話を聞けない。
梓「はい。」
そうだ。
僕は、梓の耳に、チュッと音を立てて口付けた。
梓「っ!」
耳を押さえ真っ赤になって、梓は、僕を見た。
ぷっ。
真っ赤になって、可愛い。
僕は、外に出ると、山南さんがいた。
沖田「お待たせして、すみません。僕も行っても良いですか?」
山南「うん。いいよ。」
沖田「ちょっと、梓が、灰をかぶってしまったので、洗い流してからでも良いですか?」
山南「そうですか・・・。良いですよ。待っていますから。」
山南さんが、部屋に戻ると、僕は、座り込んでいる梓に、手を差し出した。
すると、梓は、僕の手に自分の手を重ねた。
今日は、殆どの人が、角屋に行っている。
人気のない廊下を手を繋いで、お勝手まで来た。
僕は、真っ暗なお勝手の釜に火を付けて、お湯を沸かした。
僕は、梓の着物の帯に手をかけた。
梓「沖田先輩っ!」
沖田「何?」
梓「恥ずかしいです!自分でやるので・・・。」
沖田「ダメ!」
急いで結ったのかすぐに、外れてしまった。
沖田「はぁ・・・。こんなにユルユルに帯を結ってどうするの?もっとしっかり結ばなきゃ!」
梓「すみません・・・。」
着物を脱がして、僕は、梓の身体をジッと見渡す。
梓が、伊東さんに、付けられたであろう赤い痕が梓の首に浮かび上がっている。
沖田「やっぱり・・・。」
僕は、梓を野菜などを洗う所に座らせて、お湯をかけた。
髪の毛にお湯をかけて、梓の頭を洗っていると梓は気持ち良さげに、目を瞑っている。
安心して、目を瞑っている梓を見て、僕は、溜め息をついた。
ねぇ、梓?安心しきってるけど、僕も男だし。
しかも、伊東さんが付けた痕が目に入る。
僕は、梓を後ろから抱きしめて、首筋に付いた痕に口付けて、肌を吸った。
梓「沖田先輩っ!」
僕は、梓の向きを変えて、押し倒して、何度も梓の肌を吸う。
梓は、また、甘い声を上げる。
僕の口付けの痕を指でなぞる。
沖田「梓・・・。気付いてないの?ここ・・・。」
梓「え?」
気付いてなかったか・・・。
沖田「痕・・・付けられてる。飼い主としては、気分が悪い。本当に、誰にでも尻尾振って付いていくからこういう事になるんだ・・・ったく。」
今度は、“僕だけの”痕を梓の身体に刻んだ。