沖田総司と運命の駄犬



部屋に戻ると、まだ、梓は、眠っていた。



沖田「まだ、寝てる・・・。」



僕は、自分の布団を片付けた。





ペチッ。




僕は、梓の額を叩いた。





梓「んー・・・。」




起きない。




ペチッ。ペチッ。



ギュッ。




頬をつねってみた。





梓「痛いっ!」




やっと、目を覚ました梓は、僕に頬をつねられていることを、ようやく、把握したようだ。




梓「あれ?って痛いです!」




沖田「早く起きなよ。」





梓は、自分と僕の召し物を見て、目をぱちくりさせている。




梓「あれ?確か、昨日・・・。」




くくっ。混乱してる。




僕は、惚(とぼ)けた。




沖田「昨日が、どうしたの?」




梓「夢?じゃあ、私の告白は・・・?」





沖田「告白って?」




梓「え?いや・・・その・・・。」




沖田「そういえば、梓、昨日、厭らしい声、出してたけど、どうしたの?」




梓「夢だったの?じゃあ、私・・・。とんでもなくエッチな夢を・・・。」




沖田「えっ?えっな夢ってどんな夢?」



笑いを噛み殺し、普通の顔を装った。





言葉の意味は、わからなかったが、きっと、厭らしい夢といったところだろう。



本当に、混乱して、慌ててる。




梓「いえ!何でもありません!」




真っ赤になって、きっと、昨日の行為は夢だと、勘違いしてる。





そんな夢を見たとか、僕に言ったら、からかわれるとか思って言えないんだろうなぁ。





まぁ、もし、言ってきたら、からかうけど。




梓「う゛ー・・・。」




梓は、布団を被り、変な声を上げている。




沖田「何やってんの?早く起きなよ!」



僕は、梓を布団から引きずり出して、支度をさせた。





その間も、梓は、赤くなったり、僕を熱のある目で見つめてきたり、青くなったり、色々な表情をしていた。




ダメだ。笑いが・・・。




僕は、咳をこぼす。




そして、稽古場に戻る途中もずっと、唸っている梓を見て、僕は、笑いを堪える。





これ、メチャクチャ面白い!




梓「う゛ー・・・。う゛ー・・・。」




梓は、眉間にシワを寄せて、僕の後をついてきた。





稽古場に入ると、稽古が、始まっている。




すると、すぐに、稽古が始まった。







僕は、竹刀を持ち、手合わせしていたが、こっそり抜けて、梓の後ろに立つ。




梓「やっぱり格好いい・・・。あぁやって黙っていたらモテモテだっただろうな・・・。あ!あと、優しくて、イジワルしなくて・・・。」





僕を?勘違いしているのか、斎藤君を見て、うっとりしている。





しかも、意地悪しないねぇ・・・。




僕は梓には、十分優しいと思うけど?






沖田「ふーん。梓って、そういう優男が好みなんだぁ!」




梓「ギェッ!おおおお沖田先輩っ!なんで!?あそこで竹刀持ってる人が沖田先輩じゃないんですか?」






やっぱり、勘違いしてた。





沖田「あれは、斎藤君だよ!全然違うし!見間違えたお仕置き!」




恋仲見間違えて、うっとりしてるってどういう事だよっ。




僕は、梓の両頬を思いっきりつねった。




梓「痛い!痛い!止めて!」




沖田「ハハハ!頬、真っ赤!」




梓「誰のせいですかっ!」





僕は、梓に、もう一度、注意する。




あの土方さんに、預けるのは、ハッキリ言って嫌だ。




だけど、先日、山南さんが、伊東さんと親密に繋がっていたのが、わかったから、迂闊に預けれない。





もし、預けて、伊東さんに、渡されるなんて事が、有り得るからだ。




だから、仕方ないが、土方さんに、頼るしかない。



沖田「梓・・・。僕、今から見廻りなんだ。だから、土方さんと一緒に居ておいて。触れられそうになったら、差し違えても良いから。」




梓「イヤイヤ。おかしいですし!差し違えなんてありませんから!」





沖田「まぁ、半分冗談だけど。伊東さん関係の人には近付かない事!わかった?」




梓「はい・・・。」




そう言うと、梓は、一瞬、パァっと顔が、明るくなった。




沖田「じゃあ、行ってくる。いい子にしときなよ?」




梓「はい!行ってらっしゃい。」




行ってきますの接吻とかしたい・・・。




何なら見える所に、自分の口付けの痕を残しておきたい。





そんな衝動に駆られるが、今、梓に、昨日の事は、言えないから、仕方ない。




僕は梓の頭を撫でるだけにしておき、土方さんの部屋に行った。




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