沖田総司と運命の駄犬
短い道の意味
私は、沖田先輩から離れず、ずっと一緒にいた。
江戸に向かう前、沖田先輩は、櫛を手に、一晩中、泣いていた。
私の名前を呼びながら・・・。
それから、その櫛で、私をブラッシングしてくれている。
大事な櫛なんだろうな。
私が、まだ、人間だった頃には、見たことが無い。
私が、居なくなった後に、誰か、良い人が出来て、その人にあげる予定だったのかな・・・。
そう思うと胸が痛んだ。
私達は、江戸へ向かった。
そこで、起き上がれなかった沖田先輩が、皆の前で、相撲の四股を踏んだ。
その時の沖田先輩は、とても楽しそうで、嬉しそうだった。
私は、沖田先輩の嬉しそうな声を聞きながら、沖田先輩の膝で眠った。
それから、皆は、甲府へ向かったが、沖田先輩は、ついて行けないということで、千駄ヶ谷に帰る事となった。
土方「梓、後は・・・頼んだ・・・っ。」
土方さんは、そう言って、私の頭を撫でた。