沖田総司と運命の駄犬
部屋に入ると、僕は、腕組みをして、梓を睨んだ。
沖田「はっきり言って、めんどくさい。僕に、斬られたくなかったら、ここから出て行きなよ。」
そう言うのを、まるでわかってたかのように、梓は、僕を睨む。
梓「嫌です!私をここに連れて来たのは、あなたです!だったら、責任取ってよ!私を平成に帰して!」
沖田「だから、知らないって言ってるでしょ!それに、先輩とかじゃないし!」
何なんだよ。責任って。全く、関係無いし!
梓「あなたは、土下座までして、頼んだんだよっ!?彼は、侍になりたいから、助けてくれって!」
沖田「っ!未来にいる僕が、そう言ったの?」
土方さんは、侍になりたがっているのを知ってるのは、幹部の試衛館の人間だけだ。
何故、知ってる?
梓が、言ってることが、本当の事?
ハッキリ言って、こんなバカみたいなのが、嘘ついてるようには思えない・・・
梓「はい!」
沖田「じゃあ、証拠は?僕が、未来に行ったっていう証拠を見せて!」
未来なら、僕が見たことも無い物があるとは思う。
すると、梓は、荷物の中から、茶色い物を出した。
何、あれ?見たこともない箱だ。
沖田「何それ?」
怪訝そうに見る僕を無視して、梓は、包みを開けた。
中には、茶色い物・・・。
犬の糞?
沖田「汚い・・・。」
梓「沖田先輩の大好物です!」
沖田「嘘だ!そんな汚い色の気色悪い物、食べるわけ・・・ふぐっ。」
大好物って、バカにしてるのか?って文句言ってたら口に、放り込まれた。
うえぇ!・・・・・・・・・って!!!!!!!
沖田「ちょ!何する・・・って・・・何これ!?スッゴく美味しい。今まで、食べたこと無い味だ・・・。」
梓「美味しいですか?」
沖田「う、うん!とっても、美味しい!驚きだよ!あの色さえ、何とかしたら、これは、この世の物とは思えない程の物だ!」
口の中の絶妙な甘さと溶けて無くなってしまう儚さ。
これは、この世の物ではない。
梓「未来の甘味です。沖田先輩は、これが、大好きでした。」
沖田「まだあるの?」
梓「はい。」
僕は、もっと、食べたいと思った。
こんな代物は、きっと、藩主とか、将軍様のような高貴な人が食べる物だ・・・。
沖田「わかった。じゃあ、ここに置いておく。それが、無くなるまでは。」
これが、食べれるなら、コイツのお守りも、我慢ができる。
梓「あ、ありがとうございます!」
沖田「一つだけ、約束ね?お美代ちゃんの前では、変なこと言わないでよ?」
梓「お美代ちゃんって、さっき、一緒にいた人ですか?」
沖田「うん!そう!僕の恋仲なんだ♪可愛いでしょ?」
梓「はい。とても。」
そして、僕は梓の面倒を見る代わりに、ちょことお美代ちゃんの事を言っておいた。