沖田総司と運命の駄犬
稽古場に入ると、原田さん達が、集まってきた。
原田「子守は、終わったのか?」
沖田「もう、赤子の方が、楽なんじゃないかなぁ?」
永倉「でもお前、楽しそうだぞ?」
沖田「な訳ないじゃないですか!これっぽっちも、楽しくない!」
藤堂「えぇ?そうかなぁ?総司さん、すっごく、楽しそうに言い合ってるよ?まるで、息の合った芝居を観ているようだし!」
沖田「よく言うよ・・・。僕の立場になったら、皆さんも、怒鳴りたくなりますよ?」
永倉「でも、どんなに、怒鳴られても、お前の側から、離れねぇじゃねぇか!可愛い忠義を誓った犬のようだ!」
原田「犬を飼ったと思えば、いいじゃねぇか!」
永倉「それに、腐っても、おなごだろ?こんな男臭い所で、四六時中、おなごといれるのは良いじゃないか!」
沖田「犬の方が、かわいげがありますし、あれは、おなごとは言えませんよ!なんなら、変わって差し上げますよ?」
藤堂「ダメダメ。あの子は、沖田さんしか見てねぇもん。」
原田「確かに!可愛いじゃねぇか!あれだけキツいこと言われても、付いてきてるなんて、健気だねぇ。」
永倉「でも、お前も、何で、あの子にだけ、キツいこと言うんだ?気を許せるのか?」
そう言えば、そうなんだよね・・・。
梓にだけ、思ったまんま言える。
沖田「何で、でしょうね・・・。僕にも、わかりません。」
原田「そっか。」
永倉「良かったな。」
藤堂「なるほどね。」
ニヤニヤして3人が、稽古に戻る。
何?どういうこと?
さっぱりわからない。
僕は、もやっとした気持ちを晴らすように、稽古に励んだ。