沖田総司と運命の駄犬
次の日。
学校へ行くと、学年問わずの沖田ファンクラブの女子に囲まれた。
女子「昨日、私達のこと、巻いて逃げたでしょう?沖田君と、手を繋いで!」
女子「お前なんか、沖田君には、相応しくない!」
梓「私は、別に・・ふぐっ。」
後ろから、誰かに、手で、口を、塞がれた。
女子「あ・・・。」
沖田「僕の梓に、何か用?」
女子「僕のって・・・。」
沖田「昨日、梓に、告って、OKもらったんだ♪だから、僕の彼女に、何か用?」
なぬっ?彼女!?
そんな話、一ミリもしてませんよね?
女子「う、嘘だよね?」
沖田「嘘じゃないよね~?梓♪」
こちらに、笑顔で向いた沖田先輩は、目が、全く、笑っていない。
梓「う゛・・・。」
沖田「えぇ?梓ぁ~。僕たち昨日、あんなに仲良くしたじゃない?僕の部屋で、僕の裸も・・・。」
女子「えぇぇ?」
女子「キャーッ!」
梓「なっ!ち・・・違っ!」
沖田「僕の裸、見たよね?」
梓「う゛・・・。」
見たけど!見たけど、あれは、“事故”じゃない!
沖田先輩は、他の女子なんか、お構いなしに、私に、抱きついた。
沖田「梓♪行こっか?」
そう言われて、引きずられて、その場から、離れた。
皆から、離れると、沖田先輩は、パッと、私を離して、自分の教室の方へ、行ってしまった。
その日、私は、見せ物になっていた。
聞こえるように、「えぇ?あの子?有り得ない!全っ然、似合わない!」など、一日中言われ続けた。
友達も、この女子の攻撃に、近付いて来れないようだった。
そうだよね・・・。イジメの標的になる可能性が高いのに、そんな所に飛び込む勇気なんか、そうそう、持てないよ・・・。
でも、どうして、沖田先輩は、私と、恋人なんて言ったんだろう。
あの人のせいで、こんなに生活が変わってしまった・・・。
私は、だんだんとムカついてきた。
大丈夫。大丈夫。
人の噂だって、何とかって言うし、このまま、沖田先輩と関わらなかったら、そのうち、元に戻る。
そう、思っていた私はバカだった・・・。