沖田総司と運命の駄犬
山崎「なぁ。梓・・・。占い屋忠兵衛って、そもそも、どうやって、見つけたん?」
梓「沖田先輩に、連れて行かれたんです。でも、気になることが・・・。」
山崎「何や?」
梓「片道って言われたんです。」
山崎「片道・・・?」
梓「はい・・・。」
私は、詳しく、元の時代の事を話した。
黙って聞いていた、山崎さんが、真剣な顔で、私を見つめる。
山崎「なぁ。その沖田先輩ってのは、本当に、沖田助勤やったんやろか?」
梓「へ?」
山崎「沖田助勤は、梓がここに来て、初めて会ったとき、梓のこと、知らんかったんやろ?もし、未来で、俺達の名前が残ってるんやったら、それ、調べたら、沖田助勤になりすますことは出来るんちゃうか?」
梓「あ・・・。」
そういう考え全く、なかった・・・。
梓「山崎さん、賢い!凄い!推理小説みたーい!」
山崎「ハハハ。すいりしょうせつって何や?」
山崎さんは、苦笑いしてる。
山崎「もういっぺん、思い出すねん。最初から・・・。」
私は、平成にいたときの沖田先輩を思い出す。
梓「あ!」
山崎「どうした?」
梓「先輩・・・。向こうでは、モテモテだった!」
山崎「は?」
梓「顔は同じです!でも、向こうの沖田先輩は、モテてたんですよ!こっちでは、全く、モテてないのに、あっちでは、学校で一番、モテてた!」
山崎「それ・・・かなり、失礼やけど・・・。」
梓「ここの沖田先輩は、お美代さん以外の女の子に冷たいじゃないですか!?」
山崎「その、同意しにくい、質問をこっちにまわさんとってくれるか?それに今、それ、言わん方が・・・。」
梓「本当の事を言ったら良いんですよ!とにかく、あっちの沖田先輩は、こっちの沖田先輩と違って、メチャクチャ優しい男前だったんです!私、以外にですけど!」
「へぇ。こっちの沖田先輩は、冷たいブサイクってことだよね?」
梓「はい!・・・って、え?」
後ろに、立っていたのは・・・。
梓「おっ・・・沖田先輩っ!」
ツーッと、背中に冷たい物が流れる。
梓「これは、その・・・。あのですね・・・どうして、沖田先輩がここに?」
沖田「土方さんが、山崎さんに、頼みたい事があるから、僕が、代わりに来たんですよ!」
梓「なるほど!」
山崎「じゃ、じゃあ、俺は、行かせてもらいます!」
そう言うと、山崎さんは、逃げるように、走って、屯所に帰って行った。
残った、私達は、かなりの気まずい雰囲気・・・。
沖田「で?冷たいブサイクの僕が、どうしたって?」
梓「いえっ!滅相もございませんっ!お代官様っ!」
沖田「誰が、お代官様だよっ!このっ!」
沖田先輩が、思いっきり、私の頬をつねる。
梓「痛い!痛い!痛いですっ!」
パッと離されたが、頬が、ジンジンする。
梓「痕に残ったら、責任とって下さいよっ!」
沖田「それって、僕の嫁に来たいって言ってるの?」
梓「ないないないない!」
沖田「良いよ?それでも。」
え?沖田先輩って私のこと・・・。
少し、顔が赤くなった。
すると・・・。
沖田「一生、こき使うけど・・・。」
黒い笑みを浮かべている。
怖い・・・。
梓「え、遠慮しときます・・・。」
沖田「本当に、失礼だね。まぁ、僕も洗濯板じゃ、ヤだけどね~。」
梓「沖田先輩こそ、失礼過ぎます!」
私達は、ぎゃあぎゃあ言いながら、占い屋忠兵衛を探すも、全く、手掛かりすら掴めなかった。