沖田総司と運命の駄犬
宴会場に着き、無事に、挨拶を済ませた。
本来なら、僕は、幹部だから、上座だけど、梓を芹沢さんの近くに、座らせないため、一番下座に、梓と一緒に腰を下ろした。
しばらくご馳走を食べていると、梓が、上座を見ながら、僕に、そっと囁く。
梓「沖田先輩。芹沢さんって人、飲み過ぎじゃないですか?」
沖田「芹沢先生は、酒が、強いから、大丈夫だよ。」
梓「沖田先輩は、ここにいていいんですか?」
沖田「どういう意味?」
僕が、下座にいる事を不審がっている。
僕は、大丈夫だと言い聞かせる。
ん?
梓が、ご馳走を食べながら、懐から、見たこともない可愛い柄の手拭いで、口を拭いている。
もしかして・・・。
沖田「ねぇ、梓・・・。その手拭いって・・・。」
梓「そうです!これ前に、土方さんが、呉服屋に行ったときに、オマケで貰った手拭いです!」
それは、おなごでも使えるというか、おなご用だ。
あれは、オマケなんかじゃない。
土方さんが梓に贈った贈り物だ・・・。
土方さんは、梓の事を好いてるのかな?
だったら、何故、梓を僕の側に置くんだろう。
何だか、モヤモヤする気持ち・・・。
何で、僕が、こんな気持ちにならなきゃいけないんだよ。
僕は、料理を口に運んだ。
その間も、チラチラと目の端に、梓が、手拭いを使う姿が目に入る。
面白くない。
今日は、心を乱してはいけないのに・・・。
僕は、なるべく、平常心を保った。