沖田総司と運命の駄犬
周りがザワザワし出した。
芹沢さんが、帰った。
僕達は、“その時”を待った。
梓が窓を少し開け外を眺めている。
朝からの雨は、まだ、降っていた。
梓「あーあ。雨って、やだな・・・。」
まぁ、普通は嫌だけど、今宵は、雨で良かった。
足跡が残らない。
しばらくすると、土方さんの目配せをした。
そろそろか・・・。
僕達が、立ち上がると、梓も慌てて、後を付いてこようとする。
梓「あ・・・。私も、帰ります。」
沖田「梓は、永倉さんといて?今から、ちょっと、出てくる。」
そう言うと、梓は、何かを悟ったようで、とっさに、僕の袴を握っていた。
梓「どこ行くの・・・?」
そう言った梓の顔は、今まで、見たこともない色気のあるおなごの顔だった。
僕の胸は大きく高鳴った。
沖田「っ!・・・大丈夫だよ。ちょっと、お役目があるだけだから。永倉さん、梓の事、お願いします。」
永倉「あぁ。」
そう言うと、僕は、雨の降る中、他の人達と外に出た。