沖田総司と運命の駄犬
しばらく探していると・・・。
あ!いた!
ん?何やら、二人、真剣な顔付きで、話をしていた。
梓「沖田先輩が・・・。」
僕のこと言ってるの?
僕は近付いた。
梓「顔は同じです!でも、向こうの沖田先輩は、モテてたんですよ!こっちでは、全く、モテてないのに、あっちでは、学校で一番、モテてた!」
山崎「それ・・・かなり、失礼やけど・・・。」
梓「ここの沖田先輩は、お美代さん以外の女の子に冷たいじゃないですか!?」
元の時代の僕と、ここの僕を比較していたのか・・・。
それにしても、僕が冷たいねぇ。
へぇ・・・。言ってくれるじゃない。
僕は、梓の背後に立った。
すると、山崎さんが、気が付き、梓の口を、止めようとするも、僕に気付いてない梓の口は、止まらない。
山崎「その、同意しにくい、質問をこっちにまわさんとってくれるか?それに今、それ、言わん方が・・・。」
梓「本当の事を言ったら良いんですよ!とにかく、あっちの沖田先輩は、こっちの沖田先輩と違って、メチャクチャ優しい男前だったんです!私、以外にですけど!」
僕は、声をかけた。
沖田「へぇ。こっちの沖田先輩は、冷たいブサイクってことだよね?」
梓「はい!・・・って、え?」
梓は、いないと思って、陰口を叩いていた僕を見て、目を丸くしている。
梓「おっ・・・沖田先輩っ!」
『しまった』と顔に書いてるよ。
梓「これは、その・・・。あのですね・・・どうして、沖田先輩がここに?」
沖田「土方さんが、山崎さんに、頼みたい事があるから、僕が、代わりに来たんですよ!」
梓「なるほど!」
山崎「じゃ、じゃあ、俺は、行かせてもらいます!」
そう言うと、山崎さんは、逃げるように、走って、屯所に帰って行った。
梓は一人で、オロオロしている・・・。
沖田「で?冷たいブサイクの僕が、どうしたって?」
梓「いえっ!滅相もございませんっ!お代官様っ!」
沖田「誰が、お代官様だよっ!このっ!」
僕は、思いっきり、梓の頬をつねった。
梓「痛い!痛い!痛いですっ!」
悪口を言った罰だ。
梓「痕に残ったら、責任とって下さいよっ!」
沖田「それって、僕の嫁に来たいって言ってるの?」
梓「ないないないない!」
沖田「良いよ?それでも。」
また、ドングリみたいに目を、丸くしている。
しかも、顔赤すぎ。
僕は、冗談を言う。
沖田「一生、こき使うけど・・・。」
黒い笑みを浮かべながら言うと、梓は真っ青になってプルプルと首を振る。
梓「え、遠慮しときます・・・。」
沖田「本当に、失礼だね。まぁ、僕も洗濯板じゃ、ヤだけどね~。」
梓「沖田先輩こそ、失礼過ぎます!」
僕達は、ぎゃあぎゃあ言いながら、占い屋忠兵衛を探す。
でも、僕は、本気で探す気にならなかった。
夕暮れ時まで、梓と散歩して、甘味処に寄って、帰っただけだった。