沖田総司と運命の駄犬
約束の当日・・・。
屯所内は、かつて無いほど慌ただしい。
そして・・・。
一人の男の人が、縄に繋がれて、土方さん達に連れられ、奥の方へ入っていった。
すれ違う時に、土方さんに声をかけられた。
土方「梓・・・。山南さんに、読み書きを教わってこい。話は、通してある。」
何で、今、そんな事を?
梓「はい・・・。」
疑問に、思いつつ、返事をする。
あ!そういえば・・・。
梓「あの!土方さん!沖田先輩、知りませんか?最近、全然、会えてなくて・・・。」
土方「総司?総司は・・・少し、ややこしい役目を頼んでるから、それが、済んでからでは、ダメなのか?」
梓「そうなんですか・・・。だったら、良いです。」
お祭り、無理かもしれない・・・。
私は、山南さんの部屋に行った。
山南さんと読み書きの練習をする。
梓「はぁ・・・。」
山南「どうかしましたか?」
梓「あ・・・いえ!」
山南「何でもないという風には見えませんけど?」
山南さんを見ると、優しく、見つめられた。
梓「今日・・・沖田先輩と、お祭りに行く約束してて・・・。でも、大事なお役目が、あるみたいで、それを、土方さんから聞いたから・・・。」
山南「本人から、直接、聞きたかったと?」
私は、頷く。
梓「だって、約束してて・・・。私、すごく、楽しみだったから・・・。」
山南「総司と行くのが?」
梓「ち、違いますよっ!お祭りに行くのがです!」
山南「ふふっ。そういうことにしておきましょう。梓・・・。今回の総司は、というか、新選組にとって、とても、大きなお役目を行おうとしているんです。だから、今回のお祭りは・・・。」
梓「わかってます!仕事なら、仕方ありません・・・。何だか、今度の休日に父と約束して、仕事だと、断られた時を、思い出します。」
山南「父上?・・・ぷっ。総司も、大変だ。だから、この二人は、いつまで経っても、もどかしいのか・・・。」
何か、ブツブツ言っている山南さんの声が、小さくて、聞こえない。
梓「何ですか?」
山南「いいえ。来年、行けると、良いですね?」
来年か・・・。
梓「はい・・・。」
夕方になり、屯所内が、物凄く、慌ただしくなった。
梓「何?」
すると、部屋の外で、藤堂さんが、山南さんを呼びに来た。
藤堂「山南さん、幹部会議だ。事が、動くってよ!」
山南「はい。」
事って何?何が動くの?
不安になっていると・・・。
山南「梓・・・。私は、会議に行かなくてはいけません。」
梓「すみません!では、出ますね!」
片付けをして、部屋を出た。
私は、沖田先輩の部屋に行った。