沖田総司と運命の駄犬
不安な気持ちを、堪えて、ジッと待つ。
しばらくすると、バタバタと、帰ってきた。
スッと、開かれた襖の向こうに、沖田先輩がいた。
梓「沖田先輩・・・。」
沖田「ここに、いたんだ。梓・・・。僕、これから、大事なお役目があって、祭りの散歩に行けなくなったんだ。ごめん。」
梓「土方さんから、聞いたんで、大丈夫です。沖田先輩・・・。大丈夫ですか?」
沖田先輩の顔が、少し、赤い気がする。
沖田「あぁ。昼間も、ずっと、見廻りだったからかな?梓・・・。これから、僕は、また、外に行かなきゃいけないんだ。山南さんが、屯所に残るから、梓は、山南さんの側にいて?絶対、離れちゃダメだよ?」
梓「はい。」
沖田「ここのお役目が、終わったら、甘味を食べに行こう?」
梓「はい!」
沖田「じゃあ、行ってくる。」
梓「行ってらっしゃい。気をつけて下さいね?」
沖田「僕は、大丈夫だよ。梓こそ、山南さんに、迷惑かけちゃダメだよ?」
梓「かけません!」
沖田「えー!わかんないな!梓だし!」
梓「本当に、失礼ですね!」
沖田「梓・・・。」
沖田先輩に手を、握られた。
キュッと、力を込めた手は、すぐに、緩められて、離れていった。
沖田「じゃあ、いい子で留守番、頼むよ?番犬梓?」
梓「番犬って・・・。」
沖田先輩は、急いで出て行った。
何だろ・・・。
胸騒ぎがする・・・。
何も無いよね?
沖田先輩・・・早く、帰って来て・・・。