沖田総司と運命の駄犬


私は、一番隊の隊士さんを呼びに行った後、裏庭に来ていた。





梓「何でだろ・・・。いつも、キツいこと言われてるのに、今日は、辛い・・・っ。」




涙が、ジワジワと溢れてこぼれ落ちる。





梓「うっ・・・。うっ・・・。うっ・・・。」





「梓?」





振り向くと、そこには、土方さんがいた。





ヤバい。見られる。





私は、ゴシゴシと、涙を拭いた。




梓「ひ、土方さん、帰ってきたんですか?」





土方さんは、私の顔をジッと見つめてきた。




あ・・・バレる。




私は、視線を落とした。




土方「お前・・・。どうした?着物が濡れてる。とりあえず、着替えろ。」




手を握られた瞬間、手に痛みが走る。




梓「っ!」




土方「お前・・・って、火傷してるじゃねぇか!早く、冷やせ!行くぞ!」




反対の手を、取られて、引っ張られた。





土方「何やって、こうなった?」





梓「ちょっと、ヘマしちゃって・・・ハハハッ。」





私は、土方さんの部屋に、来ていた。





着物を、渡された。




土方「着替えが、済んだら、呼べ。」



そう言うと、土方さんは、部屋から、出て行った。




着替えを済ませ、土方さんを呼ぶ。




土方「ほれ。手を出せ。」




私は、土方さんに、手を出す。




優しい手付きで、薬を、塗ってくれた。




土方「梓・・・。」



土方さんが、私の指に、土方さんの指を絡める。




梓「土方さん?」




土方さんは、そのまま、私の手を持ち上げて・・・。





梓「っ!」




私の手の甲に、土方さんは、キスをした。




そのまま、土方さんの唇は、私の手の甲に置いたままで、目線は、私を、ずっと、見つめている・・・。





土方さん、とんでもない色気が・・・。





私の胸は、ドキドキと、物凄い音を立てて、高鳴る。




何これ・・・。



苦しい。




すると・・・。




「土方副長。近藤局長がお呼びです。」





私に向けられた、視線が、逸らされる。




それまで、金縛りにかかったように動かなかった、体から、フッと、力が抜ける。




それを見た、土方さんが、フッと笑った。




土方「今宵は、戻れそうにねぇ。お前、今宵は、ここにいろ。わかったな?」




私が頷くのを、確認すると、土方さんは、出て行った。





梓「今の・・・何だったの・・・・?それにしても、凄い色気・・・。」




まだ、ドキドキしてる。




私は、高鳴る胸を掴んだ。




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