沖田総司と運命の駄犬
梓「あ・・・。」
私は、お粥を置いて、沖田先輩の背中に手を当てる。
沖田「ありがとう。」
梓「いえ。あの、昨日は、すみませんでした。」
沖田「ううん。僕の方こそ、ごめん。ずっと、居てくれたんだってね。」
梓「はい・・・。あの、お粥を持ってきたんですが、食べれますか?」
沖田「うん。食べる。」
私は、茶碗に、お粥を入れて、渡した。
沖田「どうしたの?これ・・・。」
沖田先輩が、私の指をかるく握る。
バレた。
引っ込めようとすると、少し力を入れられた。
梓「あ・・・。」
沖田「ごめん。痛かった?これ、どうしたの?」
梓「あの、ちょっと、火傷して・・・。」
沖田「火傷?まさか、僕との約束を破って、お勝手に入ったの!?出入り禁止にしたよね?」
梓「はい・・・。これを、作ってて・・・。」
沖田「あ・・・。ちょこ水。」
梓「熱中症には、これが効くので・・・。約束破って、ごめんなさい。」
沖田「やっぱり、梓が、作ったんだ。変な色だから、捨てるとこだったけど、甘いちょこの匂いがしたから・・・。」
梓「飲んで貰えて良かったです。」
沖田先輩は、あっという間に、お粥を平らげた。
沖田「梓・・・。もうちょっと、こっちに来て?」
梓「はい・・・。」
私は、沖田先輩の布団の横に座る。
すると・・・。
ギュッと、沖田先輩に、抱きしめられた。
梓「え?」
沖田「梓・・・。ありがとう。看病も、コレも。」
沖田先輩は、片方の手で、私の指を優しく握った。
沖田「僕のために、火傷までして、作ってくれて・・・。火を起こすのだって、お湯だって、梓じゃ大変だってわかるから・・・だから、嬉しいよ・・・。」
梓「沖田先輩・・・。なんか、今日、変です。沖田先輩が、優しい。」
沖田「はぁ・・・。僕だって、素直に礼くらい言えるよ?」
梓「知りませんでした。でも・・・。沖田先輩が、目覚めてくれて、良かった・・・。」
私は、沖田先輩の胸に顔を付けると、涙が溢れてきて、しばらく、私達は、抱き合っていた。