沖田総司と運命の駄犬
僕は、部屋の襖を開けた。
梓「沖田先輩・・・。」
良かった。
僕は、梓に会えて、少し、安堵した。
沖田「ここに、いたんだ。梓・・・。僕、これから、大事なお役目があって、祭りの散歩に行けなくなったんだ。ごめん。」
そう言うと、梓は、少し、寂しそうな顔をして、ニコッと笑った。
梓「土方さんから、聞いたんで、大丈夫です。沖田先輩・・・。大丈夫ですか?」
梓は、僕の顔を覗き込み、心配そうな顔をした。
沖田「あぁ。昼間も、ずっと、見廻りだったからかな?梓・・・。これから、僕は、また、外に行かなきゃいけないんだ。山南さんが、屯所に残るから、梓は、山南さんの側にいて?絶対、離れちゃダメだよ?」
屯所だって、狙われる可能性がある。
でも、怖がらせないように、その事は、言わない事にした。
梓「はい。」
沖田「ここのお役目が、終わったら、甘味を食べに行こう?」
梓「はい!」
そう言うと、梓は、嬉しそうに頷いた。
沖田「じゃあ、行ってくる。」
梓「行ってらっしゃい。気をつけて下さいね?」
沖田「僕は、大丈夫だよ。梓こそ、山南さんに、迷惑かけちゃダメだよ?」
梓「かけません!」
沖田「えー!わかんないな!梓だし!」
梓「本当に、失礼ですね!」
沖田「梓・・・。」
なんでだろ。
急に梓に、触れたくなり、手を握った。
僕は、すぐ、手を離して、冗談を言う。
沖田「じゃあ、いい子で留守番、頼むよ?番犬梓?」
梓「番犬って・・・。」
もう、行かなきゃ。
後ろ髪を引かれる思いがあったが、気持ちを切り替えて、部屋を出た。