Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
Magic3 発見
今朝、いつもより早く目が覚めた。
なぜかそわそわして落ち着かなかった。
いつも見ているニュースも頭に入らず、新聞も読まずに家を出た。
「おはようございます。先生、いつもよりお早いですね」
受付の田村さんに声を掛けられた。
「おはようございます」
田村さんは、原さんのように突っ込んで聞いてこないので、挨拶だけをし、副院長室へと向かった。
何をしても落ち着かなかった。
午前中の診察中も何度も時計とカレンダーに書かれている「熊谷さん13時」という文字と彼女の名刺を見ていた。
「せんせ~、熊谷さんが来られたので、先生のお部屋にお通ししました」
午前中の診察もそろそろ終わろうとしていた頃、原さんは笑いを堪えながら僕に伝えてきた。
きっと、僕が朝からそわそわしているのに気付いているのだろう。
「はい、わかりました」
僕は、外には出さないように気合を入れ、診察を始めた。
最後の患者さんは、定期的に受診をされているので特に変わった様子がなかったので5分程で診察が終わった。
「先生、お疲れ様です」
「お疲れ様です」
僕は席を立ち、部屋に向かった。
父である院長はすでに診察を終えているようでいなかった。
受付はまだ患者さんの対応に追われていた。
「お疲れ様」
と受付の女の子に声を掛けると、
「先生、お弁当が届いていたので休憩室に置いておきました」
と田村さんが教えてくれた。
「ありがとうございます」
うちのクリニックには入院患者がいないので、調理室がない。
だから昼食も自分で用意するか、外食をしなければならない。
今日は近くの弁当屋で、ハンバーグ弁当を注文していた。