Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
トントントン
「はぁい」
休憩室には、何人かの職員がいるのか、ドアをノックをすると複数の声がした。
休憩室は、6畳くらいのスペースにテーブルとイスが置いてあり、流しや電子レンジなどもある。
午前診と午後診の間の時間は自宅に帰る職員も多いので、これくらいのスペースでも狭くはないようだ。
「先生、お弁当ここにあります」
「ありがとうございます」
ほんのり温かい弁当を受け取ると、突き当たりの部屋へと向かう。
自分の部屋なのに、なぜか緊張する。
ドアの前で1回深呼吸をし、ノックをした。
部屋の中から「はい」と返事が聞こえたのでドアをゆっくりと開けた。
「先生、お疲れ様です」
熊谷さんは、立ち上がって頭を下げてくれた。
「あっ、お疲れ様です。気にせず作業続けてくださいね。僕も昼食を摂るので・・・」
「私、邪魔じゃないですか?」
申し訳なさそうに言う熊谷さんに「大丈夫ですよ。気になるかもしれませんが、気にしないでください」と言った。
楢崎さんの時は、午前中の訪問だったので、こうやって同じ部屋で過ごすことはなかったのだ。
「ありがとうございます」
再び机に向かった熊谷さんは、カルテを見ながらパソコン入力していた。
その後ろ姿をちらりと見ながらソファに座り、弁当を食べた。
何か話しかけようか、いや、仕事中だから黙っておこうかを考えながら食べていると、あっという間に食べ終えた。
弁当の容器をガサゴソと片付けていると、ドアがノックされた。
「はい、どうぞ」
返事をすると「失礼します」と原さんが顔をのぞかせた。