Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
「先生、おいしいクッキーをいただいたので、お茶を入れてきました。
熊谷さんもよろしければどうぞ」
原さんは、僕の前と向かい側に紅茶を置いてくれた。
そしてテーブルの真ん中にクッキーを置き、「先生、がんばって」と耳元で囁くと、「失礼しました」と言い出て行った。
原さんが出て行くのを見送ると振り返り熊谷さんの様子を伺った。
熊谷さんは、体をこちらに向け、優しく微笑んでくれていた。
「熊谷さん、少し休憩しませんか?どうぞ」
「ありがとうございます」
ゆっくりと僕の前に座った熊谷さんは、クッキーの箱を見るなり目を輝かせた。
その表情の変化に僕の胸が早く鼓動し始めた。
「先生、これWhite Magicのクッキーですね!」
熊谷さんは、これまでに見たことのないテンションで、嬉しそうに言った。
「あっ、ご存知ですか?」
White Magicは、僕の友人の奥さんの店で、よく差し入れを持ってきてくれるのだ。
「はい!雑誌にも載っていて有名ですよね。行列ができていてなかなか買えないんですよね」
そうか・・・雑誌にも載るくらいなのか。
確かに美味しいから、甘いものに目がない僕は、食べ始めると止まらなくなる。