Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
「まじで?あの瞬が結婚するのか?」
僕が瞬の結婚話をすると、ビールを吹き出しそうになるくらい驚いていた。
「あいつ、結婚しないと思ってた。いや、後継ぎが必要だから見合いでもするのかと思ってたけど・・・」
「だろ?まぁ、まだプロポーズはしてないみたいだけどな。
でも、彼女の話をすると時の瞬の顔を見たら、卒倒するかもな」
わざと意味ありげに言うと、田村は身を乗り出して、
「何それ?そんなに変わったのか?あいつ」
と聞いてきた。
こんな反応になるのも納得できる。
学生時代の瞬は、彼女はいたもののすぐにふられていた。
5年前に瞬も含めて同期5人で会った時も、当時の彼女から「仕事と私どっちが大事なの?」と聞かれて「仕事」と答えて、ひっぱたかれて別れた後だったけな。
「そりゃ、嘘でも『君だよ』って言ってあげないと」
と言う周囲に
「仕事と自分を比べる奴の気持ちなんて理解できるかよ。そんなの一緒にいるだけ無駄じゃないか?」
とクールに答えていたっけ。
僕がそんなことを思い出していたら、
「また、仕事と私どっちが大事なの?とか言われるんじゃねえの?」
と言った。
やはり、田村も覚えていたか。
「いや、それはないんじゃないかな。相手は看護師で、向こうも仕事人間っぽいし」
「榊、瞬の彼女知ってんのか?」
田村は再び身を乗り出してきた。
「あぁ、彼女の勤める病院に当直に入ったことがあってな」
「まじか。で、美人だった?」
「あぁ、美人だった。でも、瞬があそこまで熱をあげている理由はわからない」
「へ~何か決め手があるんだろうな」
乗り出した体を元に戻しながら、しみじみと言う田村に一つ聞いてみた。