Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
Magic4 親友からのアドバイス
年末年始やお盆でもなかったが、珍しく上野山から連絡があり、当直を引き受けた。
僕は、医師控室に荷物を置くと、瞬がいるであろう診察室を覗いてみた。
瞬は、パソコンに向かい作業をしていた。
「瞬、診察は終わったのか?」
瞬は手を止め、「おう、ジラフか」と落ち着いた様子で振り返った。
「あぁ、上野山に頼まれてな」
僕は、診察室のベッドに腰を掛けながら答えた。
「明日も診察あるんだろ?」
「あぁ、昼からは休診だから引き受けた」
「上野山もそれを狙って電話したってことか」
2人でとりとめない話をしていると、瞬のスマホが鳴った。
瞬は「すまん」と一言言って、電話に出た。
「あぁ、終わった。じゃぁ、裏で待ってる」
おそらく彼女だ。
こいつ、こんな甘い声を出すのか?
眉も下がって、口元も緩んでいる。
こんな顔初めてだ。
「あっ、すまん、何の話だっけ?」
「いや、彼女か?」
僕は、視線をスマホの方にやりながら聞いた。
「あぁ、そう。今、仕事が終わったって」
そっけなく答えるフリをしているが、表情が作れていない。
嬉しさが溢れていると言ったらいいのだろうか。
「なぁ、瞬、今度飯でもどう?彼女さんも一緒に」
『彼女さんも』という言葉に、片眉を上げ動揺したようだったが、すぐに「あぁ、いいよ。睦美の都合も聞いて連絡する」と言った。
2人の様子を見たいと思っていた僕は、心の中でガッツポーズをした。