Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
Magic4 親友からのアドバイス


年末年始やお盆でもなかったが、珍しく上野山から連絡があり、当直を引き受けた。

僕は、医師控室に荷物を置くと、瞬がいるであろう診察室を覗いてみた。

瞬は、パソコンに向かい作業をしていた。


「瞬、診察は終わったのか?」


瞬は手を止め、「おう、ジラフか」と落ち着いた様子で振り返った。


「あぁ、上野山に頼まれてな」


僕は、診察室のベッドに腰を掛けながら答えた。


「明日も診察あるんだろ?」


「あぁ、昼からは休診だから引き受けた」


「上野山もそれを狙って電話したってことか」


2人でとりとめない話をしていると、瞬のスマホが鳴った。


瞬は「すまん」と一言言って、電話に出た。


「あぁ、終わった。じゃぁ、裏で待ってる」


おそらく彼女だ。


こいつ、こんな甘い声を出すのか?


眉も下がって、口元も緩んでいる。


こんな顔初めてだ。


「あっ、すまん、何の話だっけ?」


「いや、彼女か?」


僕は、視線をスマホの方にやりながら聞いた。


「あぁ、そう。今、仕事が終わったって」


そっけなく答えるフリをしているが、表情が作れていない。


嬉しさが溢れていると言ったらいいのだろうか。


「なぁ、瞬、今度飯でもどう?彼女さんも一緒に」


『彼女さんも』という言葉に、片眉を上げ動揺したようだったが、すぐに「あぁ、いいよ。睦美の都合も聞いて連絡する」と言った。


2人の様子を見たいと思っていた僕は、心の中でガッツポーズをした。

< 45 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop