Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
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「すまん、ジラフ。遅くなって」
2人との食事会は、案外すぐに実現した。
「すみません、榊先生」
百井さんは、丁寧に謝ってくれた。
「いや、気にしないで」
と言うと、申し訳なさそうに頭を下げてくれた。
以前、話した時と同じく、礼儀正しい子だなという印象だった。
「ジラフ、何か頼んだ?」
瞬は、座りながらメニューを手に取っていた。
「いや、飲み物を頼んだだけ」
メニューを百井さんに向けながら聞く瞬の目は優しかった。
「じゃあ、烏龍茶で」
「わかった。あと、何食べる?これ、この前来たとき、うまかったよな?」
「あっ、そうだね」
2人で料理を決める様子は、仲睦まじく、僕が入る隙なんてなかった。
「榊先生は、何にされますか?」
僕が1人になっていることに気付いてくれたのか、百井さんは声を掛けてくれた。
「2人にお任せしますよ」
もう少し2人の様子を見ておきたかったので言うと、「ジラフは相変わらずだな」と瞬に笑われた。
注文を済ますと、瞬が「ジラフが飯に行こうなんて珍しいよな。
何かあったのか?」と聞いてきた。
瞬もなかなか鋭い。確かに聞きたいこと、いや、相談したいことはあったのだが、会ってすぐには話すことはできなかった。
「いや、2人の仲良いところを見たいと思ってな」
「はぁ?だから睦美もって言ったのか?」
眉をひそめながら瞬は聞いてきたが、嫌そうではなく、むしろ嬉しそうだった。
一方、思いさんは少し困惑したような表情だった。
「2人は立花病院で出会ったんでしょ?第一印象とかはどうだったの」
この質問をした瞬間、2人は固まってしまった。
予想外の反応だったので、僕の手も止まってしまった。
「第一印象は、最悪だろ?」
瞬は、百井さんの顔を覗き込むようにして聞くと、百井さんはバツが悪そうに「はい」と答えた。
瞬は、面白がっているようだ。
「こいつさ、俺に『つべこべ言ってないで来い!』って怒鳴りつけたんだぜ?」
「あれは、瞬さんが悪いんでしょ」
百井さんは、呆れ顔で瞬に言った。
「それでもあれはないぞ?なあ、思わねえ?ジラフ」
どんな状況だったかは全くわからないが、百井さんが瞬に対して「つべこべ言ってないで来い!」と言うなんて信じれない。でも、否定はしなかったから、言ったわけか。
「僕にふられてもさ、どういう状況かわからないから答えようがないし」
「そうですよね。それが・・・」
百井さんが身を乗り出してきて話そうとしていたが、瞬が「お前やめろよ」と止めていた。
しかし・・・
「いや、これは、榊先生にも聞いていただかないと!」と制止した。
「うん。僕は聞きたいな」
「そうですよね」
百井さんは、ニッコリと笑いながら言うと、最後に勝ち誇った顔をしながら瞬を見ていた。
「勝手にしろ」
瞬は、頬杖をついて完全に拗ねている。しかし、そんな様子を気にすることなく、百井さんは話し始めた。