Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
「それは、瞬が悪い」
話を聞いての僕の感想。
瞬が立花病院で当直をした日、ある入院患者さんが腹痛を訴えた。
その原因は、病院食以外のものをたらふく食べたことによるものだった。
それを聞いて瞬は、新人看護師にキレて回診にも行こうとしなかったらしい。
それを百井さんが「つべこべ言わずに来い!」と言って無理矢理連れ出したそうだ。
「ですよね」
百井さんは再び勝ち誇った表情で瞬を見た。
瞬は、百井さんを睨みながらも、少し嬉しそうだった。
「でも、そこからどうして付き合うようになったの?」
そう、百井さんの瞬に対しての印象は最悪。
なのにどうして・・・・・・?僕の質問に目の前の2人は黙り込んでしまった。
「いや、まぁ、いろいろあるんだよ」
瞬は、バツが悪そうにごまかした。
「いろいろね」
気になるが、これ以上突っ込んで聞いても話してくれそうにないので、やめておいた。
2人だけの話ってのもあるだろうし。
でも、瞬が彼女に惹かれた理由がなんとなくわかった気がする。
僕が知っている瞬の彼女達は、ドクターである瞬に媚びていたように見えた。
はじめこそ仕事に理解を示してくれるのだが、最終的には「仕事と私どっちが大事なの?」と言われて別れるパターンばかりだった。
しかし、百井さんは違うのだろう。
おそらく告白したのも瞬からだろう。
正直、瞬が告白すること自体想像ができない。
一体どのようにして百井さんを落としたのだろう。
気になるが、今は聞かずにいてやろう。
「あの時の瞬さんは、本当に最低だった」
「まだ言うのか?それを」
目の前では、まだ2人が言い合っていた。
完全に瞬が負けていたが。
こんな瞬を見るのも初めてだ。
「いえ、今でも看護師に厳しすぎるんですよ」
「それは、あいつらが勉強してないからだろう」
「それにしても、きつすぎるんです。榊先生、何とか言ってやってください」
なぜか、僕の方に飛び火してきた。
「えっ、そうだね。瞬は仕事には厳しいからね。もう少し優しくしててあげたら?」
「はぁ?ジラフ!何言ってんだ?俺が優しくするのは、睦美だけで十分なんだ」
驚いた。
瞬がこんな言葉を言うなんて。
百井さんも耳まで赤くしているじゃないか。
そんな彼女を見て瞬は、楽しんでいるようにも見える。
ドSだな。
とりあえずわかったのは、瞬が百井さんに惚れてるってこと。
とにかく、百井さんの見る目が優しいというか、甘い。
いろんな意味でお腹いっぱいだ。