Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
「ところでジラフ、何か用があったんじゃないのか?」
急に瞬が話題を変えてきた。
僕は相談するか迷ったが、話すことにした。
「実は、加奈との将来を考えられなくてな」
僕は、自分の手元に視線を落としながら、ゆっくりと話し始めた。
「もう付き合い始めてどれくらいだっけ?」
少し視線を上げて2人の様子を見ると、瞬は、落ち着いた様子で聞いてくれ、百井さんは少し驚いた様子だった。
そりゃそうだろう。
突然僕の恋の悩み相談が始まったのだから。
「6年かな。あっ、百井さんごめんね。こんな話」
「いえ・・・気になさらないでくだい」
百井さんは、軽く頷きながら、優しい表情を向けてくれた。
「6年か・・・将来ってことは、結婚を考えられないってことか?」
「あぁ、そうなんだ」
「喧嘩でもしたのか?」
そう、喧嘩をしたわけでも、気が合わないわけでもない。
加奈に悪いところがあるわけでもない。
「じゃぁ、あれだ。本当にこの子でいいのか?って思ってんだろ?」
「えっ?」
驚いた。
こんなにもすぐに図星を突かれるとは思っていなかった。
百井さんも瞬の方を向き、驚いているようだった。
「図星だな、その顔は」
「あ、あぁ・・・」
やっぱり顔に出てるのか?
僕が曖昧な返事しかできないでいると、百井さんが遠慮がちに口を開いた。
「あの・・・榊先生・・・もしかして気になっている人がいるんですか?」
これまた驚いた。なんて鋭い子なんだ。
「えっ、そうなのか?ジラフ」
「あ、あぁ」
僕は、この2人に隠しても仕方ないと思い、熊谷さんのことを話した。