素顔のキスは残業後に【番外編】第2話完結
そんな戸惑いや僅かに残された羞恥心は、彼の唇が言葉よりも饒舌に奪い去っていく。

毎度のこととはいえ、彼の掌の上で転がされる自分が悔しくて堪らない。
そう思うのに――。

愛されてることを実感させてくれるこの時間が、とても贅沢に思えて仕方ない。
気が付けば彼の首の裏に手をまわして、求めるように唇を重ねる。

角度を変える度に深みを増していくキスに呼吸が苦しくなった頃、軽いリップ音を響かせた唇が引き離され、低く囁かれた。


「敬語はやめろって、言ったろ?」

それは北海道旅行で柏原さんが提案してくれたことだった。
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