素顔のキスは残業後に【番外編】第2話完結
『社外では上司も部下もない』

そんな彼の気遣いが嬉しいって思うし、名前で呼ぶようにも言われてるけど、なかなか慣れるまで時間がかかりそうなんだよね。

彼の幼なじみである五月さんには、『柊司(シュウジ)は友花ちゃんにべた惚れなんだから、顎で使ってやればいいよー』なんて言われたけど。とんでもないですよ……。


「そっ、そうでしたね。すみませっ!」

あぁ、言われたそばからまたしても!

今度は「ふふ」なんて首を傾けて誤魔化してみると、私を見つめる瞳が柔らかく細まり、昨日の夜ずっと腕枕をしてくれていた彼の腕が私の頭を引き寄せる。

コツンと額がぶつかり、見つめ合う一瞬。

柏原さんから「ふっ」と短い吐息が漏れ、至近距離にある瞳が挑発的な色を添える。
キスで潤ったばかりの下唇を親指でなぞり上げられた。
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