最初で最後の、恋だった。







輝飛先輩は、ずっと笑っている。

ただ…ずっと……。




「望愛ちゃん?どうしたの?」



あたしの怯えの色を感じ取った先輩は、あたしの頬に手を当てる。

いつもはうっとりするのに、今日はビクッと体が反応した。




「怖い?俺のこと」

「……」



肯定も否定も出来ない。




ただ…わからないだけ。

わからなくなってしまっただけ。




あたしの愛した先輩は、

一体誰だったのか…。





「そっか…」



先輩は一瞬目を伏せた。

その時に見せたのは…とても哀しい眼差し。





グイッ

「きゃっ…!」




あたしは先輩に押し倒されていた。











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