最初で最後の、恋だった。






「…先輩?」



あたしは先輩を見た。

すると、輝飛先輩は、目を瞑ったまま動かない。



「先輩ッ!?」



あたしは駆け寄る。

そして、先輩の口元に自分の手を向ける。




息…していないッ!?




「先輩!
目を開けてください先輩!!
先輩ッ…せんぱッ……!

輝飛ッッ!!!!」




初めてだった。

あたしが先輩を、呼び捨てしたのは。





そういえば、先輩言っていた。

『キャ…ディ』って。

キャ…ディって…キャンディ!?

飴玉ってこと?




あたしは鞄の中から、飴玉袋を取り出す。

中には、色とりどりの味の飴が入っていた。




その中から、輝飛先輩のよくなめていた袋…

黒い袋の飴玉を取り出す。








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