最初で最後の、恋だった。
ふっと口元を離すと。
…先輩は薄っすら目を開いた。
「……望愛………?」
「先輩、口開けてください」
小さく開けた口の中に、飴玉を入れた。
「ごめんね…驚かせて……。
怖かった…でしょ…?」
まだ荒い呼吸を繰り返す先輩。
でもさっきよりは楽になったみたいだ。
「大丈夫ですか先輩」
「いつもの…ことだからね。
慣れちゃった……」
ニコリと先輩は苦しそうな、だけど優しい笑みを浮かべる。
「先輩…何か病気でも……?」
「…何も抱えてないけど?」
「嘘つかないでくださいッ!」
叫んだあたしに、先輩は驚いて目を開いた。
そして、哀しげに笑う。