最初で最後の、恋だった。







「抱えてないよ…何も」

「嘘ッ…」

「嘘じゃない。
俺は望愛に嘘はつかない」



望愛。

呼び捨て…。




「抱えては、いない。
ただ…今のみたいに、発作はある」



どういうこと?

病気は抱えていないのに発作はある?




先輩は溜息を吐いた。





「俺…小さい頃から体弱くて。
特に弱かったのは心臓…。
重い心臓病…抱えていたの。

運良く臓器提供者が現れて…俺は生きてる。
でも…たまに…ああいう発作が起きるんだ。

最近、望愛の知らない所で…発作起きててね。
午前中学校休んで、病院…行っていたんだ」




あ。

奥田先輩が言っていたことだ。

だから先輩…休んでいたんだ。




「今日は特に発作とかもなくて…。
大丈夫かなって思って…油断していたんだ……」








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