最初で最後の、恋だった。







あぁ。

あたし、先輩と別れたのに。

何で先輩のことばかり考えるんだろう?




心のどこかでは、

あたし…先輩が大好きなんだ…。




「そういえば望愛」




『望愛』

先輩…あたしのこと呼んでくれたな……。




「望愛、聞いているのかい」

「あ、ごめんなさい。何ですか?」



あたし、本物の奴隷だ。

家政婦でも、もっと良い声をかけてくれるのに。




そういえば。

あの先輩の家の家政婦さんの作る料理、美味しかったけど味が薄かった。

もしかして、先輩の病気を知ってのことだったのかな?




「望愛ッ」

「はいっ」



やばい。

叔母さんの話、何にも聞いていなかった。




考えるのは、

先輩ノコトダケ……。







< 116 / 157 >

この作品をシェア

pagetop