最初で最後の、恋だった。
「望愛には付き合っている彼氏がいるのか?」
先輩…。
そういえばお兄ちゃんが亡くなって、あたし先輩の家に行ったんだ。
そこでまさか、アンナコト聞くなんて…。
「望愛の彼氏、前にノゾムが見たらしくてね」
「え?」
アイツが?
「かなり不細工な彼氏らしいじゃないか」
「…え?」
あんなに王子様みたいにかっこいい先輩が…不細工?
「でも、どうしてそんな彼氏を作れたんだい?」
「え?」
叔母さんは話を変えた。
そういえば、先輩があたしを好きになった理由、聞かずに別れちゃったな。
“その時”になったら教えるって、言っていたっけ?
“その時”って結局、いつだったんだろう?
「しかし驚いたね。
望愛が不細工好きだとは」
「待ってください。
どうして先輩が不細工なんですか?
先輩、学校では王子様って言われているんですよ。
イケメンに…決まっているじゃないですか」