最初で最後の、恋だった。
「何ですか?」
「望愛様は、ぼっちゃまの家庭事情を、ご存知ですか?」
「家庭事情?
それって、ご両親が遅く帰るってことですか?」
まぁあたし、何度も先輩の家泊まったことあるけど、1回も先輩のご両親に会ったことないな…。
「そうでしたか…」
「え?
もしかして、実際はもっと複雑なんですか…?」
考えてみればあたし、先輩が何を抱えているか、詳しいことは知らないや…。
もしかして、あたしが考えている以上に、先輩の闇は深いのかな?
「…実際に聞いてみた方がよろしいかと思います」
「そうですよね。わかりました!」
あたしは病院へ向けて走り出した。
「初めてぼっちゃまが、心を許し、唯一信じた存在。
何故アンナ性格のぼっちゃまが、彼女に好かれるのかわかりませんでした。
ですが。
…彼女も“同じだった”のですね。
だからぼっちゃまも彼女に惹かれ、望愛様もぼっちゃまに惹かれた。
類は友を呼ぶと言いますが、このことですわね。
お幸せに。
ぼっちゃま…望愛様……」