最初で最後の、恋だった。







あたしは、近所で1番大きい総合病院に来ていた。

入り口で看護師さんに場所を聞き、その階へ向かう。

先輩の病室は個室で、ナースステーションから近かった。



昔聞いたことがある。

ナースステーションに近い病室にいるほど、その人は重い病気だって。

先輩も…それほど重いのかな?




『コンコンコンッ』

ノックして、返事はない。

あたしは無言で引き戸を開けた。




「あれ?」



先輩の姿はなかった。

戻って、入り口に掲げられているネームプレートを見る。

山野輝飛…間違いない。

じゃあ先輩はどこへ?




あたしは病室を出て、病院内を歩いた。

そして、ある行き先への看板を見つけた。




「………」




あたしは屋上へ向かう階段を上がった。








< 122 / 157 >

この作品をシェア

pagetop