最初で最後の、恋だった。
あたしは、近所で1番大きい総合病院に来ていた。
入り口で看護師さんに場所を聞き、その階へ向かう。
先輩の病室は個室で、ナースステーションから近かった。
昔聞いたことがある。
ナースステーションに近い病室にいるほど、その人は重い病気だって。
先輩も…それほど重いのかな?
『コンコンコンッ』
ノックして、返事はない。
あたしは無言で引き戸を開けた。
「あれ?」
先輩の姿はなかった。
戻って、入り口に掲げられているネームプレートを見る。
山野輝飛…間違いない。
じゃあ先輩はどこへ?
あたしは病室を出て、病院内を歩いた。
そして、ある行き先への看板を見つけた。
「………」
あたしは屋上へ向かう階段を上がった。