最初で最後の、恋だった。
ガチャ…
扉の開く音。
あたしは入り口を見た。
風に靡く、サラサラのチョコレート色の短い髪。
この世のモノには思えないほど、整った顔立ち。
180ほどの高い身長なのに、不思議と威圧感はなく、あたしはいつも、まるですっくと立つ木を連想させている。
いつもは笑みを浮かべているのに、今日は…何だか冴えない、哀しげな表情。
輝飛先輩…!
何で…ココに……?
てかあたし、先輩を探しに屋上に来たんだ。
先輩と出会って、仲良くなれたのは、屋上でのお昼ご飯があったから。
だから自然と…足が屋上に向かっていたんだ。
今度こそ、伝えなくちゃ。
あたしの、決して誰にも曲げられない、先輩への思いを。
あたしの言葉で、しっかり先輩に伝えなくちゃ。
あたしは静かに、先輩の元へ向かう。