最初で最後の、恋だった。







ガチャ…



扉の開く音。

あたしは入り口を見た。




風に靡く、サラサラのチョコレート色の短い髪。

この世のモノには思えないほど、整った顔立ち。

180ほどの高い身長なのに、不思議と威圧感はなく、あたしはいつも、まるですっくと立つ木を連想させている。

いつもは笑みを浮かべているのに、今日は…何だか冴えない、哀しげな表情。







輝飛先輩…!

何で…ココに……?






てかあたし、先輩を探しに屋上に来たんだ。

先輩と出会って、仲良くなれたのは、屋上でのお昼ご飯があったから。

だから自然と…足が屋上に向かっていたんだ。





今度こそ、伝えなくちゃ。

あたしの、決して誰にも曲げられない、先輩への思いを。

あたしの言葉で、しっかり先輩に伝えなくちゃ。





あたしは静かに、先輩の元へ向かう。






< 125 / 157 >

この作品をシェア

pagetop