最初で最後の、恋だった。
輝飛はこの間見た時とは違い、とても静かな発作だった。
浅い呼吸を繰り返してはいるけど…。
「望愛…」
「輝飛ッ!」
「…俺のこと…名前で…呼んでくれているんだね……。
凄く…嬉しい………」
「輝飛が喜ぶのなら、何度でも呼ぶ!
だって、あたし―――――――――…」
その先は言えなかった。
その代わり、
唇に、柔らかく、優しい感触が当たった。
「輝飛…ッ」
「…好きだよ…好き……。
アイ…して……る………」
そっと、笑顔のまま、輝飛の目は閉じる。
「輝飛ッ!嫌だッッ!!」
あたしは、前から細かったのに、ますます細くなった輝飛の腕を、肩にまわした。
あたしは150ちょっとの身長だけど、輝飛は180もあるのに。
楽々と持ち上げることが出来た。
それほど…
輝飛の体は弱っているんだ……。
あたしたちは屋上を出た。