最初で最後の、恋だった。
第6章
★望愛の罪
屋上を出てからは、さすが病院。
すぐに看護師さんたちが気が付いてくれて、あたしの代わりに、輝飛を病室まで運んでくれた。
あたしは、看護師さんや医者が中に入ってから、出てくるまで外の待合室で待っていた。
ただ、祈ることしか出来なかった。
輝飛が、あの変わらぬ笑顔で
『望愛』
と呼んでくれる日が来ることを。
「どうぞ。
今は眠っていますけどね」
「あ、ありがとうございます!」
看護師さんや医者と入れ違いに、あたしは病室へ入る。
輝飛は、すーすーと規則的な寝息を繰り返していた。
「輝飛…ッ」
良かった…生きてる。
人が生きているのって、こんなにも良いことなんだ……。