最初で最後の、恋だった。
「それじゃ。
何かあったら、すぐに誰か呼んで」
「あの…アナタは……?」
「ワタシ?
ああ、名乗っていなかったね。
ワタシは輝飛クンの主治医。
小さい頃から、輝飛クンを知っているよ」
オジサンは出て行こうとする。
あたしはそれを引き止めた。
「あのっ!」
「どうした?」
「輝飛って、心臓の病気なんですよね?」
「うーん…。
詳しく言うと、もう治ってはいるんだ。
輝飛クンの場合、臓器提供者が現れたから。
ただ、その心臓がたまに発作を起こしてしまうんだ。
だから、病気ではないね」
「輝飛って…いつぐらいまで生きられるんですか?」
オジサンは、切なげに目を伏せた。
「普通の人よりは…長く生きられないかな……」
「…二十歳って…ことですか……?」
あたしは泣きだす。
こんなに泣き虫じゃなかったのに…。
「え?
いやいや、違うよォ!」
オジサンは明るく言った。